焙煎における失敗(Roasting Defects)とその対策について
英文で焙煎に関する情報を漁っていたところ、英語圏ではよく話題に上がるRoasting Defects(ディフェクト)に関する情報が日本語では少ないことに気付いたので簡単にまとめてみました。
There are a number of different roast defects which can affect the flavour of your coffee. You might taste the burnt and ashy flavours of scorched coffee, or maybe even oaty and bread-like notes of baked coffee.
As a roaster, you won’t want these flavours overpowering the hard work you’ve put into a roast. Identifying these defects by sight and taste will help you roast to a higher standard and more consistently.
Read on to discover why cupping is so important in roasting, how to identify defects in cupping, and how to make changes in your roast for that defect.
コーヒーの味に悪影響を与える焙煎の欠陥はいくつかあります。この欠陥により、焦げた風味や灰っぽい質感、またオーツ麦やパンのようなベイクドフレーバーを持つような美味しくないコーヒー豆ができてしまいます。
そして焙煎師として、これらの風味は絶対に避けなければいけません。そのためには、視覚と味覚でこれらの欠陥を特定し、安定した焙煎を目指す必要があります。
焙煎においてカッピングがなぜ重要なのか、カッピングで欠陥を特定する方法、そしてその欠陥に対して焙煎をどのように変更するかを学ぶことが大切です。と多くの英文記事では焙煎不良(Roasting Defect)の大切さを述べています。
Perfect Daily Grind
焙煎後の豆を観察して不良点を見つけ出し、次の焙煎方法を改善することは重要だと思うので興味がある方は、ぜひご一読ください。
【主なディフェクト】
- スコーチング(Scorching)
- インナー・スコーチング(Inner Scorching)
- ティッピング(Tipping)
- アンダーデベロップ(Underdeveloped)
- オーバーデベロップ(Overdeveloped)
- ベイキング(Baking)
目次
スコーチング(Scorching)
「スコーチング(scorching)」とは、焦げ豆の現象を指します。これは、豆が高温のドラムや焙煎機に長時間触れることで、豆の表面が過度に焼けてしまい、黒い斑点やムラができる状態です。このような焼き焦げは豆の外側に現れ、風味や品質に影響を及ぼします。スコーチングが発生すると、苦味が強くなり、雑味が増してしまうため、コーヒーの風味を損ねる原因となります。スコーチングを防ぐには、「投入温度」「投入量」「ドラムの回転速度」を適切に調整し、豆が均等に撹拌・加熱されるようにすることが大切です。
【味の特徴】
- ざらついた舌触り
- 渋み
- スモーキー
- 焦げた味
【見た目】
- 豆の平らな面に小さな黒い斑点ができる
ScorchingとChippingを混同している人を時々見かけますが、以下の画像はChippingであり、Scorchingではありません。Chippingは主に焙煎度が深い場合に見られ、豆の内部にある水分が多く溜まっているポケットのような部分が焙煎中に圧力で破裂することで起こります。見た目は良くありませんが、味には影響しません。
ティッピング(Tipping)
「ティッピング(Tipping)は、焙煎の火力が高すぎることで豆の先端が焦げてしまう現象を指します。焙煎の後半(主に1ハゼ前)までの火力が豆の密度が耐えられる熱を超えると、豆の中でも特に脆弱な先端が焦げやすくなることで起こります。ティッピングが起こるのは焙煎が速く進みすぎているサインであり、防ぐためには温度を下げて豆をゆっくりと焙煎する工夫が必要です。
【味の特徴】
- ざらついた舌触り
- 渋み
- スモーキー
- 焦げ
【見た目】
- 豆の先端部分が焦げる
アンダーデベロップ(Underdeveloped)
アンダーデベロップは主に、短すぎるデベロップメントタイムによって起こります。
1ハゼから豆を排出するまでのデベロップメントタイムが不足していると豆が十分に発展せず、豆が生焼け状態になることが原因です。
【味の特徴】
- 嫌な酸味(Sour)
- スウィートネスにかける
- 単調な味
【見た目】
- 豆を割った時に豆の内部が外側よりも明るい傾向がある
アンダーデベロップの特徴を豆に感じたときは、1ハゼ後から排出までの時間デベロップメントタイムを長くすることで解決できます。
オーバーデベロップ(Overdeveloped)
オーバーデベロップは主に、長すぎるデベロップメントタイムによって起こります。
1ハゼから豆を排出するまでのデベロップメントタイムが長すぎると豆の組織が崩壊し、豆が焦げることが原因です。
【味の特徴】
- スモーキー
- レザーのような味わい
- フラットな味
【見た目】
- 豆を割った時に豆の内部が外側よりも暗い傾向がある
しかし、オーバーデベロップとダークローストの違いはかなり曖昧です。これはスペシャリティコーヒー文化からくる「焙煎のしすぎは豆の個性を消している」といった思想からきていると思われます。
Barista HustleのMatt Perger氏がオーバーデベロップは存在しないと述べていることから、意図的にダークローストを選択している場合、それについてあまり心配する必要はないかもしれません。
ベイキング(Baking)
ベイキングは焙煎の最終段階においてRoR(温度上昇率)が足らず、十分なカロリーを与えられないことで発生します。ベイクドフレーバーとも言います。
RoRが低いと、温度上昇がほぼ0に近づくことになります。原則として、熱は高温から低温へしか移動しないため、この状態では豆へのカロリーの供給が不十分となり、化学反応が発生せず、結果としてフラットなベイクドフレーバーが生じます。
【味の特徴】
- フラットな味わい
【見た目】
- 見た目での判断は難い
ベイクドフレーバーを防ぐには、RoRがフラットな状態や急降下する現象を防ぎ、RoRを緩やかに減少させることが重要です。
豆の内部の焦げ
火力が強すぎる。(熱量を加えすぎ)
1ハゼまでに水分がうまく抜けていない場合は、豆の内部での蒸発につながり焦げが出来ます。
そのため、ドライングフェーズを伸ばすことで解決することができます。