【焙煎手順まとめ】コーヒー焙煎のやり方を1から詳しく解説

こんにちは、これから焙煎を始める皆さん。

焙煎を始めるにあたってGoogleやYouTubeでたくさん調べていると思います。そして、最終的に辿り着くのがあるサイトではこう言ってるけど、違うサイトではこう言っているという矛盾。なにが、正しいのかよく分からなくなりますよね。私もそうでした。

そこで、「メルボルンで焙煎している経験」と「英語と日本語で調べ上げられる力」を使って自分なりにまとめてみました。参考になった文献や、プロとして活躍している焙煎師さんの言葉などを引用して、信頼性のある焙煎方法をまとめてみました。

生豆の選定 

焙煎をするにあたり、一番最初にやらなければいけないのが生豆の選定。コーヒーの味わいを左右する最も重要な要素は、間違いなく生豆の品質です。最高級の焙煎技術を用いても、生豆の本来の品質を超える味や香りを引き出すことはできません。自分が求める味や香りを明確に思い描き、それに見合った品質の生豆を選択することが、焙煎手順の第一歩です。

コーヒー生豆を選ぶときの選定基準は大きな「4つのポイント」に注目しましょう。

  • 産地:コーヒーの風味は産地の気候や土壌に深く影響されます。
  • 精製方法:生豆の処理方法が風味に大きく影響します。
  • グレード:生豆の品質を示す評価で、風味や豆の状態を示します。
    • 標高:標高が酸味や香り、味わいに大きく影響します。
    • スクリーンサイズ:大きい豆ほど高品質とされています。
    • 欠点豆:欠点豆の割合が少ないほど、評価が高くなります。
    • カッピングテスト:焙煎した豆を総合的に判断します。
  • 収穫年度:収穫された年によって、風味が変わることがあります。

そして、これらのポイントが焙煎方法に大きく影響を与え、最終的な風味にも関わってきます。

例えば、精製方法や育った標高、持っている水分値が違うだけで糖分や密度に大きな差が産ます。その結果、焦げやすかったり、中まで火が通りにくいなどの個体差があります。このような、特性を無視して焙煎することもできますが、それでは豆の個性を最大限に生かすことはできません。

豆を選ぶ際には作り出したい風味を思い描き、そこから逆算して生豆を選ぶことをおすすめします。

生豆を選び方と、焙煎への影響をこちらの記事で深掘りしています。

欠点豆のピッキング

生豆を購入した後は、欠点豆を取り除きましょう。

欠点豆とは、生豆に混入している不完全な豆のことです。これらは、コーヒーの味に悪影響を与える豆で、「傷んでいる豆や異物が混ざっている不良豆」が欠点豆となります。

コーヒーの生産地でコーヒーチェリーを収穫し精製する過程の中で、豆の選別と異物排除を行う工程がありその際に「欠点豆」もある程度取り除かれるのですが、完璧に取り除くのは難しいんです。そのため、生豆を焙煎する前には生豆から欠点豆を取り除く事が推奨されていて、この作業を一般的に生豆のハンドピッキングといいます。生豆の種類にもよりますが、5%~10%は捨てなければいけないことを覚悟しましょう。

主な欠点豆は以下の「12種類」です。

欠豆風味に悪影響はあまり無し
潰れ豆風味に悪影響はあまり無し
貝殻豆少し焦げた印象の原因
発育不良豆嫌な酸味や渋み、青臭さなどの原因
発酵豆刺々しい味やすっぱみの原因
黒豆腐敗臭を発する原因
カビ豆カビ臭、えぐみ、すっぱみなどの原因
虫食い豆異臭や濁りの原因
死豆風味そのものが希薄
パーチメントえぐみ、渋みの原因
異物(小石)グラインダーが故障する原因
異物(トウモロコシ)ポップコーンが出来上がる

欠点豆による影響

  • 味: 嫌な苦味、妙な酸っぱさ、焦げ臭、異臭、香りの減少
  • 視覚:濁り
  • 健康:胃もたれ、胸焼け、下痢

スペシャルティコーヒーの場合、厳しい基準をクリアした豆のみが使用されるため、欠点豆の混入は非常に少ないのが特徴です。これは、高品質なコーヒーを楽しむためには、欠点豆を適切に取り除くことが重要であることを示しています。

こちらの記事で、欠点豆の見分け方を写真付きで紹介しています。

焙煎プロファイルを用意する

焙煎プロファイルとは、生豆の特徴や狙いたい焙煎度に応じてどのように焙煎をしていくかというものです。投入温度や火力調節を細かく決めたおくことで、安定した焙煎をすることができます。

焙煎では、全ての豆に同じアプローチをするのではなく生豆が持っている性質(水分値・精製方法・密度など)によって火力や投入温度を調節しなければいけません。水分値が低ければ焦げやすかったり、ナチュラル精製だと糖を多く含んでいるので低火力で、特製でる甘みとコクを最大限に生かす焙煎が望ましいなど様々な要素があります。そのため、各豆ごとに調節した焙煎プロファイルを作る事が重要になります。

焙煎プロファイルを作る際の主なポイントは4つです

  • 投入量を決める
  • 投入温度を決める
  • 火力調節を決める
  • 排出時を決める

この4つのポイント決めるには試行錯誤と実験がかなり必要になりますが、定めることができれば焙煎もある程度安定してきます。

そして、焙煎プロファイルを作るには、「焙煎メモ」を利用し自分が行った焙煎を記録しましょう。焙煎メモとは、コーヒー豆を焙煎する温度や時間などの条件を詳細に記録したものです。

出典:Chouette torréfacteur laboratoire様blog

焙煎では、与える熱量とその熱量に何分生豆をさらしたかという「焙煎メモ」を管理することで初めて安定した焙煎・味づくりを行う事ができます。温度プロファイルを定めて焙煎ができるようになれば、「風味、焙煎時間、焙煎豆外観」といった変動要因を安定させることが可能になります。

もちろん、「感覚的に・・・」とか「焙煎中の香りで・・・」といった要因で焙煎方法を安定化させている猛者も少なからずいますが、焙煎とは「化学」ですので感覚に頼って焙煎を安定化させるのはとても難易度が高く、化学的に根拠の無い焙煎方法は風味や外観の安定性を欠くことになってしまいます。

詳しい焙煎プロファイルの作り方はこちらの記事でまとめています。

一般的に焙煎の段階はDrying Phase/Maillard Phase/Development Phaseに分けることができます。

コーヒーコンサルタントのScott Rao氏による一般的な理想の割合は、この様になっています。

  • Drying Phase(35%〜45%)
  • Maillard Phase(30%〜40%)
  • Development Phase(20%〜30%)

予熱(暖機運転)

予熱とは焙煎を始める前に焙煎機を起動、加熱して暖めておくことです。

焙煎はガスの火力で豆を焼いていきますが、実はドラムを覆う鉄との蓄熱と相まったエネルギーで焼いています。そのため、焙煎機が温まっていない状態で焙煎を始めると焙煎にとても大きな影響を与えます。その日に行う、最初と最後の焙煎内容がほぼ同じにすることで、焙煎の一貫性と再現性を高めることができます。

一般的な暖機は最低でも30分。60kgを焙煎できる大きなマシンだと90分ほどの予熱が、安定した焙煎をするには必要です。

【暖機の手順】

  • 1バッチ目の投入温度より、約20度ほど高い温度になるように火力を調節。
  • その火力で最低30分暖機を維持。
  • その後、1バッチ目の投入温度まで温度を下げ焙煎開始。

暖機にはこれに限らずさまざまな方法がありますが、このような方法が一般的となっています。

しかし、暖気をしたとしても最初のバッチはなかなか安定しません。そのため多くの焙煎師は、デカフェや一番質の低い豆を使用する事が多いとバリスタハッスルでは述べています。

参考:HTR 2.03 Warming up the Roaster

生豆を投入

焙煎機が目標の投入温度になったら、生豆を焙煎機に投入して焙煎開始する事です。

ここからは、焙煎をプロファイル通りに進めていきましょう。

中点(ボトム)

焙煎開始後、最初に起こる現象が「中点」や「ボトム」と言われる現象です。

これは生豆を投入後、生豆の温度とドラム内の温度差があるため、ドラム内の温度が下がります。この一番低い温度を「中点」と言います。

中点は焙煎時間の長短に主にかかわります。中点が焙煎プロファイルよりも低い場合には、焙煎時間が長くなる。逆に高すぎる場合には焙煎時間が短くなります。そして、焙煎時間は短いと酸味が強くて質感が弱くなり、長いと酸味が弱くて質感が強くなります。

中点は主に予熱の温度に影響を受けます。そのため、毎回同じ予熱方法をすることで、中点を安定させることができます。しかし、実際には焙煎においては狙った通りに正確な中点を達成することは結構難しいです。バッチごとに焙煎機の蓄熱量も増えていきますし、季節によっても大きく変わります。ですが、中点が焙煎プロファイル通りに行かなくても、Drying Phaseでの熱量管理と組み合わせることによって、焙煎初期のプロファイル調整や修正を行うことできます。

例えば、投入後想定よりボトム温度が下がってしまった場合にはDrying Phaseでの熱量を高くすることで焙煎序盤のプロファイルの補正を行うことができ、反対にボトムが上がってしまった場合はDrying Phaseでの熱量を低くすることで補正できます。このように、中点を知ることで早めに焙煎の軌道を戻すことができます。

「中点はこの温度がよい」と述べているサイトをよく見かけますが、実際は焙煎機の大きさ、バッチサイズ、火力など様々な要因いよって変わってきます。短時間高火力で浅煎りを焙煎する場合と、長時間低火力で焙煎する場合では中点は、同じバッチサイズだとしても中点は一緒にはなりません。そのため、「中点はこの温度がよい」という意見には捉われずに、自分の焙煎機にあった中点を探すことが大事です。

蒸らし、水抜き(Drying Phase)

焙煎には大きく分けて3つのフェーズがあります。

  • ドライングフェーズ
  • メイラードフェーズ
  • デベロップメントフェーズ

そしてこのドライングフェーズでは、「蒸らし」によって豆中心部までカロリーを与え、「水抜き」によって成分を美味しく進化させる前駆体を作っていくイメージです。(中点〜ゴールドポイント)

【蒸らし、水抜きのポイント】

  • 生豆が持つ水分によって豆の中心部に熱を伝達させる(蒸らし)
  • メイラード反応が起こりやすい様に脱水をしていく(水抜き)
  • このフェーズで味を構成していくというよりはしっかり水抜きをして、次のメイラードフェーズの準備をするという意識が大切になってきます。

コーヒー焙煎における「蒸らし」と「水抜き」は、初期段階の重要な工程です。「蒸らし」では豆の中心部に熱を伝え、「水抜き」は、蒸らし後または同時行われ、余分な水分を効率的に取り除き、メイラード反応を促進することを目的としています。

蒸らし

蒸らしというのは豆の中心部に熱を与える作業。豆投入直後はまだ、表面と中心部での温度差があるため、熱伝導の高い水分を利用し中心部まで熱を伝えることが重要です。ダンパーを開け気味にしてしまうと、うまく蒸らしが行われず水分が多く逃げていってしまい表面だけが焦げてしまいます。逆に完璧に閉めてしまうと蒸発した生臭さ・渋み・えぐみや焦げ臭・燻り臭が残る傾向があります。

水抜き

水抜きは、コーヒー豆の焙煎過程において、ダンパーを少し開けて豆から余分な水分を効率的に蒸発させる工程です。このステップでは、火力の適切な調節が重要で、豆全体に均一に熱を伝えメイラード反応を促進させて風味を引き出します。火力が強すぎると表面だけが焦げ、弱すぎると豆が十分に弾けず、風味がぼやけたり、重くなったりするリスクがあります。この段階で排気の流れが不十分であると、コーヒーがスモーキーな風味(バーン状態)になります。

一般的にドライングフェーズの終了サインは、豆が緑からゴールド色に変わるゴールドポイント(またはイエロー)である4~5分位が、世界では共通の認識です。このゴールドポイントは150度あたりで起こります。一方で、水抜き終了のサインは蒸気が落ち着き生臭さが消える時点で、一般的には生豆を投入してから約7分~8分と述べている人もよく見かけます。これには理由があり、ドライングフェーズが終わるのはゴールドポイントですが、その後も少量の水分が1ハゼ直前まで抜け続けるので、約7分~8分という認識が多いようです。

次のフェーズであるメイラード反応が一番になる温度が150度付近となっているので、ドライングフェーズの終了時は150度で起こるゴールドポイントが正しいと「バリスタハッスル」では述べています。

参考:HTR 4.02 Phases of the Roasting Profile

ゴールドポイント(Gold Point)

ゴールドポイントは、コーヒー豆の焙煎過程で重要な目安です。主にドライングフェーズの終了時、そしてメイラードフェーズの始まりの指標として認知されており、4~5分位で到達する場合が多いです。

ゴールドポイントはメイラード反応が活発化する状態とされており、この反応によって甘さやコクが形成されていきます。ただし、ゴールドポイントに到達するのが早すぎるとドライングフェーズが短意ということであり、豆の脱水が不十分で青臭くなる可能性があります。逆に到達するのが遅すぎると風味を形成する前駆体成分を失い、風味が低下する恐れがあります。

メイラードフェーズ(Maillard Phase)

メイラード反応とは、加熱により糖とアミノ酸などの間で褐色物質の「メラノイジン」などができる化学反応のこと。ゴールドポイントから始まって1ハゼが起きるまでのことを言います。この反応は、パンやクッキーの焼き色、ご飯のおこげ、コーヒーや麦茶の色や香りにも見られる現象で、食品の風味形成に大きく寄与しています。

【メイラード反応のポイント】

  • 短時間:「酸味」、「クリア」な味わいになる
  • 長時間:「質感」「甘味」「複雑性」が強くなる

メイラード反応は、コーヒー豆の焙煎過程で非常に重要な化学反応です。この反応では、ドライングフェーズによって水分が蒸発した豆の内部にある還元糖とアミノ酸が結合し反応していきます。この過程によって、パンの焼ける時のような甘い香りが生じ、豆の色が変わるのが特徴です。この段階では、コーヒー豆にゴム化現象が起こり、触ると柔らかく感じられます。

温度でいうと一般的には150度あたりからメイラードフェーズが始まります。反応自体は100度をすぎたあたりから始まっていますが、ショ糖のメイラード反応が最も活発になる温度が150度付近となっているので、このような解釈が一般的です。そして、1ハゼの始まりが、メイラードフェーズの終了です。

1ハゼ(1stCrack)

焙煎が進むと、水分が抜け収縮した生豆の豆内部で発生した蒸気やガスが蓄積し、豆が耐えきれずに「パチッパチッ」と音を立てて弾ける現象が1ハゼです。

【1ハゼのポイント】

  • 焙煎の進行度合いを音で確認することができる

1ハゼは、コーヒー豆が焙煎中に「バチバチ」と音を立てて弾ける初期の重要な段階です。この時点で焙煎を止めると、シナモンローストとなり、1ハゼの終了時に止めるとミディアムローストになります。この現象は、豆の表面近くの水分が蒸発して豆が膨張し、内部の圧力により組織が破壊されることによって起こります。

1ハゼは、コーヒー豆が本来の風味や香りを放ち始めるサインであり、焙煎士にとっては、豆の状態を見極め、焙煎の度合いを調整し、望ましい風味を引き出すための重要な指標です。1ハゼ直前に表面温度は上がり、直後には下がることが一般的です。

1ハゼ後は豆の組織が脆くなっているので、慎重な火力調節が必要です。昔ながらの焙煎方法だと、最初から最後まで最大火力という焙煎師の方も多かったですが、スペシャルティコーヒーの認知によりコーヒーの解釈が深まり、RoR(上昇率)が緩やかに下がるアプローチが最適と有名コーヒーコンサルタントのScott Raoなどらは述べています。そのため、豆の組織が脆くなっている1ハゼ後は、慎重に火力を下げていくことが一般的です。

1ハゼがちゃんと起こる事が基本的には良いとされていますが、あくまで焙煎進行の目安の一つなので、味に直接影響がある訳ではないとされています。

2ハゼ(2ndCrack)

1ハゼが終わり、二酸化炭素などのガスが急激に発生、蓄積し、豆が耐えきれずに「パチッパチッ」と音を立てて弾ける現象が、2度目のハゼが起こる事。

【2ハゼのポイント】

  • 焙煎の進行度合いを音で確認することができる

焙煎が進み2ハゼに達すると、コーヒー豆の風味は大きく変わります。この段階では酸味から苦味が際立つ深煎りへと変化し、豆の風味が深まります。2ハゼの発生時に焙煎を止めるとフルシティローストになり、酸味はほぼなく苦味が特徴です。2ハゼの終わりに焙煎を止めるとフレンチローストで、より強い苦味と濃厚な風味が得られます。さらに焙煎を続けるとイタリアンローストになり、最も強い苦味とローストフレーバーが特徴です。2ハゼは焙煎の重要な段階であり、微妙な変化を見極めることで、理想の風味プロファイルを実現することができます。

1ハゼ時よりも豆の組織がさらに脆くなっているので、さらに慎重な火力調節が必要となります。

スペシャルテーコーヒー業界では2ハゼまで焙煎しているロースターはあまり見ません。その理由として、2ハゼまで焙煎すると豆の個性はほぼ消えてしまうからです。そのため、高品質のコーヒーとその特性を活かす、スペシャルテーコーヒーが流行っている現在のカフェではあまり飲むことができません。

デベロップメントフェーズ(Development Phase)

このフェーズは、1ハゼが始まった後から、焙煎を終えるまでの期間を指します。

【デベロップメントフェーズのポイント】

  • 短時間:「酸」「フレーバー」が際立つ
  • 長時間:「ボディ「コク」」が増す

デベロップメントフェーズの主な目的は、今まで発展させてきた風味をさらに発展させることです。デベロップメントフェーズ以前に起きた化学反応は、デベロップメントフェーズでの化学反応の基盤となります。そしてこの段階で、豆の内部化学反応が活発に進行し、さらなる風味成分が生成されます。特に、メイラード反応やカラメル化が進行し、豆の風味や香りが豊かになります。デベロップメントフェーズの終了は、焙煎士の経験と目的に基づいて決定されます。豆が目標とする色、香り、風味に達したと感じた時に、焙煎を終了します。この判断を下すには、豆の外観や香り、さらには音(1ハゼや2ハゼの音)に注意を払うことが必要です。

焙煎時間のうちこの段階が占める割合は「DTR(Development Time Ratio)」と呼ばれ、コーヒーコンサルタントのScott Rao氏によると、1ハゼ後の開発時間は焙煎全体の約20~25%が理想的とされています。しかし、この割合は一概に固定されているわけではなく、例えばWCRC2019年の優勝者はDTRが10%だったことからも、数字にとらわれすぎないことが重要です。

DTR(Development Time Ratio)

  • 10~15% 酸味・フレーバーが優位
  • 15~20% 酸味・フレーバー・コクのバランス
  • 20%~  コク・ボディ感・苦味が優位

最終的に予定の焙煎度に到達したら焙煎を止めます。この段階の適切な管理は、豆の風味と品質を決定づけるため、焙煎士にとって非常に重要です。

冷却

焙煎後の豆を冷ます工程です。

【冷却のポイント】

  • 焙煎後の豆を急速冷却することにより、香り成分の散逸を防ぎ、「良い香りや風味」を残すことができる
  • 焙煎後の豆を急速冷却することに余熱による「焙煎の進行」を防ぐ

焙煎の冷却は、焙煎後のコーヒー豆の温度を迅速に下げるプロセスです。この段階は、焙煎中の化学反応を止め、豆の風味を保ち、品質を維持するために重要です。チャフなどが飛び散るため焙煎機に備え付けられている冷却装置は、強力な吸引ファンを使った空気冷却が一般的です。ですが、手網焙煎などをされている方はドライヤーや扇風機、うちわでも代用することができます。冷却はできるだけ速く、通常は3〜5分以内に行うのが理想的です。均一な冷却を保つことで、全ての豆が一貫した焙煎度で仕上がり、コーヒーの最終的な風味に影響を与えます。

カッピングを行う

カッピングを行い、焙煎が成功しているのか失敗なのかをテストしましょう。ここで次の焙煎への課題を見つけ修正していくことが大切です。

焙煎後の豆から判断できる焙煎の失敗をまとめている記事があるので興味がある方は是非読んでみてください。焙煎における失敗(Roasting Defects)とその対策について

その他の用語

RoR(Rate of Rise)

RoR(Rate of Rise)は、コーヒー豆の温度が1分間にどれだけ上昇するかを示す指標です。例えば、6秒で1℃温度が上がった場合、1分では10℃上昇することになり、RoRは10℃/分です。RoRを追跡することで、焙煎士は焙煎の速度を正確に把握し、豆を均一に焙煎し、求める風味プロファイルを得ることができます。安定したRoRを保つことは、一貫した品質のコーヒーを生産するために重要です。RoRは焙煎プロセスを細かくコントロールするための重要なツールであり、適切な管理が焙煎の成功の鍵となります。

焙煎ではかなり重要な要素になってくるのがこのRoRです。1ハゼ後のRoR次第で簡単に豆に悪影響が出てしまうので、注意しましょう。

RoRについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をおすすめしています。焙煎中における3つのフェーズとRoRの考え方と重要性

DTR(Development Time Ratio)

DTR(Development Time Ratio)は、コーヒーコンサルタントのScott Rao氏が提唱した概念で、全焙煎時間の中で、1ハゼ開始から焙煎終了までのデベロップメントフェーズが占める割合を示します。Rao氏によると、この割合が全焙煎時間の20〜25%であることが理想的です。例えば、全焙煎時間が10分の場合、DTRが20%ならデベロップメントフェーズは2分となります。DTRは焙煎の品質や豆の風味を調整するための重要な指標であり、焙煎プロセスの理解と管理に役立ちます。ただし、最適なDTRは豆の種類や焙煎機の特性によって異なるため、柔軟な調整が必要です。また、一部の焙煎温度管理ソフトウェアはハゼのタイミングを入力することでDTRを自動計算する機能を備えており、DTRが焙煎にとって重要な指標であることを示しています。

ニュートラル(Neutral)

焙煎における「ニュートラル」とは、ドラム内の熱風が適切に排出される状態を指します。この状態では、熱風が滞ることなく、過剰に熱が逃げることもなく、焙煎の効率が最も良くなります。ニュートラルの状態を確認するには、テストスプーンの口に紙などをかざし、揺れがほぼない状態ががニュートラルです。また、風速を計測することでニュートラルをより正確に確認する方法もあります。温度が高いほど空気は膨張し圧力が高まるため、温度の変化によってニュートラルの位置も調整する必要があることに注意が必要です。

もっと詳しく焙煎中のフェーズ、RoRについてまとめた記事がありますので興味がある方はこちらも読んでみてください。焙煎中における3つのフェーズとRoRの考え方と重要性