【TDS】でコーヒーを濃度と数字からアプローチする
TDSとは?
最近では当たり前になってきているこの”TDS”。一体なんのことなのでしょうか。
TDS=コーヒーの濃さ
- TDS=Total Dissolved Solids 「総溶解固形分」の略称で、液体の中に水以外の成分がどれだけ入っているかを表す数値となっています。
- TDSの理想値は1.15~1.35%とされています。
- TDSが低ければ味は薄く質感が軽くなり、高ければ味が強く質感が重くなります。
なぜこのTDSが重要になってきているのか。
最近よくTDSというワードを聞くようになった理由の一つは、コーヒー抽出という複雑で動的なプロセスの再現と共有をわかりやすくるためだと思います。毎日店で出すコーヒーや、新人教育などにおいて味覚だけに頼らず数値で正確な情報として伝達でき、同じ味を提供するためのツールとして使多く使用されています。また、大会に出る時なんかもSCA(Specialty Coffee Association)により定められた適正数値を参考にすることでジャッジが求めている味に近づけることもできます。
そして、TDSとセットで出てくるのがBrixと収率(EY)。少しややこしくなりますが難しくはありません。
収率=豆から成分をどれだけ取り出せたか
- コーヒー豆からどれだけコーヒー成分を取り出せたかを表す数値で、味わいのバランスの指標となります。
- SCA(スペシャルティコーヒー協会)では、収率の理想値は18~22%と定められています。
- 収率が低ければ酸味が優位になり、高ければ甘味が優位になります。また低すぎると未抽出となり塩味が強く、逆に高すぎると苦味が現れます。
TDSと収率は、次の計算式で求めることができます。
- 収率 = コーヒー液の量 × 濃度(TDS) ÷ コーヒー豆の量
収率の値が18~22%であれば、コーヒー豆から多くの成分を取り出せたことになり、一般的に効率よく抽出が行えたということになります。
一見TDSと混同しそうになるのですが、TDSは出来上がったコーヒーの濃度を測定しており、収率はコーヒー豆から取り出せた成分の多さを測定しています。
Brix|糖分の割合
- ショ糖液100g中に含まれるショ糖のg数を目盛った値で、糖度を表します。
- 光の屈折現象を利用した糖度計(Brix計)で測定されます。
まとめると
- TDS=コーヒーの濃さ
- 収率=豆の成分をどれだけ取り出せたか
- Brix=糖分の割合
このようになっています。
TDSと収率の最適数値|美味しいコーヒーの条件
TDSと収率は、どちらもSCA(Specialty Coffee Association)により適正数値が定められており
- TDS:1.15%~1.35%
- 収率:18%~22%
となっています。TDSと収率のどちらも適正値の場合が、濃度も抽出もバランスが取れている理想的なコーヒーとされていますが、あくまでも指標ですので囚われすぎず自分の好みの数値を探すことが大事です。
TDSの測り方
数値の計測には、専用の濃度計測器が必須になります。
代表的なものは〈ATAGO(アタゴ)〉で、プリズムを利用した光の反射でコーヒーの濃度が測定できます。
ATAGOの公式webサイトでは34,650円で販売されています。
もう少し安いTDS計が欲しいという方には、
〈DiFluidコーヒー TDS濃度計〉がおすすめです。

スマホのアプリと連動して濃度の他に収率も記録できるようになっており、アタゴとの誤差も0.03%程度と、有名かつ優秀なTDS計です。こちらはAmazonでも出店されておりレビューを確認することもできます。
濃度計の使い方
濃度計の使い方自体は非常にシンプルです。サンプルを載せるガラスの上に、ガラスの部分が覆う程度のコーヒーを載せて、計測ボタンを押すだけです。そして、その際に注意事項が2つあります。
- “コーヒーに混ざった不溶物質を除去すること”
- “コーヒーの温度を室温に下げること”
一つ目の”コーヒーに混ざった不溶物質を除去すること”は水に溶けない微粉を取り除くことになります。濃度計は光の屈折を使って濃度を測る機械なので、コーヒーの粉が混ざっている液体を濃度計で測ってしまうと正しく測定できないのでできる限り取り除きましょう。
二つ目は”コーヒーの温度を室温に下げること”です。こちらも光の屈折に関係しており、温度によって数値が変化してしまいます。一般的にはカリブレーション(最初に水で濃度を測り校正すること)をした水と同じ温度を使うことが推奨されていますので、大体室温くらいに下げることで正しい数値を求めることができます。